新版 暗号技術入門 秘密の国のアリス †現代のコンピュータシステムは,暗号とは切っても切れない関係にある. この本では,コンピュータでの暗号についての基本について触れている. 暗号とハッシュのアルゴリズム自身の概要はもちろんだが,それを使ったシステム(電子署名など)についても説明がある. ここらへんはごちゃまぜになりやすいところではあるが,章を分けて別のモノとして説明しているのでわかりやすい. また,図も適度に入っていて,言葉面だけではわかりづらいところもすっきりとわかるようになっている. あくまでも「入門」なので,暗号プログラム自身を書くには内容は不十分である. が,「暗号のライブラリを使ってシステムを構築する」というような向きには十分な内容ではないかと思う. あと,この手の話題は鮮度も大事である. 古い本を見たりすると,今では「安全ではないので使ってはいけない」と言われている暗号が現役扱いされていたりする. アルゴリズム自体は時を越えても不変なのだけど,解読技術が進歩したり,コンピュータの処理能力の進歩で力任せの解読が可能になったりすることで,「安全」といわれていた暗号が「危険」になってしまう. かつて BSD / Linux のパスワードのハッシュ関数が DES から MD5 に変更になったのもそのためである(今また MD5 も危ういと言われているのだけど,どうなるのだろう?). この本の奥付を見ると 2008 年 12 月 10 日発行,と,最近のものであり,そういう部分の判断も割り引かずに素直に読める. … あらたまって「書評」っぽく書こうとすると疲れるなぁ. |