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* 節電デマ [#icc31017]
「関西電力が節電を呼びかけている」「九州電力が節電を呼びかけている」というデマが出回っているようである.
東京電力で電力が不足しているのは確かだし,これらの電力会社から電力を融通しているのもホントらしい.
問題は「節電した分が東日本に送られるか」というところなのだけど,これは期待できない.
というのも,60Hz 地域から 50Hz 地域に電力を送る手段がか細いからだ.
西日本全体の余剰電力分だけで間に合う程度しか無い.
60Hz の電力を 50Hz の地域に送るには「周波数変換所」という電力設備を経由しなくてはならない.
が,この設備は3箇所しかなく
:佐久間周波数変換所|30万kW
:新信濃変電所|60万kW
:東清水変電所|10万kW
合わせて 100万kW の能力しかない( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E4%B9%85%E9%96%93%E5%91%A8%E6%B3%A2%E6%95%B0%E5%A4%89%E6%8F%9B%E6%89%80 ).
一方,60Hz 地域の発電能力は
:中部電力( http://www.chuden.co.jp/corporate/company/com_outline/index.html )|3263万kW
:北陸電力( http://www.rikuden.co.jp/company/gaiyo.html )|796万kW
:関西電力( http://www.kepco.co.jp/corporate/profile/index.html )|3306万kW
:中国電力( http://www.energia.co.jp/profile/outline.html )|1199万kW
:四国電力( http://www.yonden.co.jp/corporate/yonden/summary.html )|666万kW
:九州電力( http://www.kyuden.co.jp/company_outline_index.html )|2002万kW
合計すると 10033万kW となる.
50Hz 地域に融通できるのは 100万kW であり,全発電能力の 1% に過ぎない.
合計すると 11232万kW となる.
50Hz 地域に融通できるのはこのうちの 100万kW であり,全発電能力の 1% にも満たない.
また,これらの発電能力は,電力を一番消費する「真夏の昼間」に耐えうる能力があるので,冬季の今ではもちろん余裕がある.
というわけで,60Hz 地域でいくら頑張って節電しても,50Hz 地域の人が助かることは無い.
精神的な意味で個人的に「祈りを込めて」節電するのは構わないけど,「被災している人の役に立ちたい」と思ってる人をミスリードすることだけはやってはいけないと思う.
(追記)
[http://www.tepco.co.jp/cc/press/11031312-j.html 東京電力のプレスリリース]によると,北海道電力からの電力融通もできるようになったらしい.
北海道-本州間の送電は 60万kW.一方,北海道電力の発電設備は合わせて 742万kW ( http://www.hepco.co.jp/corporate/ele_power/equipment/stb_1.html ).発電能力の 8% が送電に回せることになる.
北海道-本州間の送電能力は 60万kW.一方,北海道電力の発電設備は合わせて 742万kW ( http://www.hepco.co.jp/corporate/ele_power/equipment/stb_1.html ).発電能力の 8% が送電に回せることになる.
北海道電力の電力需要は冬季にピークが来るそうなので,こちらのほうは「節電のお願い」が出るかもしれない.
北海道にいる人は,北海道電力からのお知らせには注意したほうがいいかも.
(3/15追記)
[http://www.hepco.co.jp/ 北海道電力]によると,本州に目一杯送電しても余裕があるとのこと.
特に節電する必要は無いそうだ.
あと,60Hz 地域で中国電力が抜けてたので追加.
結論には変更は無し.