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* 単安定マルチバイブレータIC [#v0c40f21]
74 シリーズの標準ロジック IC には 74xx123 という,単安定マルチバイブレータ IC があります.
今日は,74HC シリーズの 74HC123 を動かしてみました.
** 単安定マルチバイブレータとは [#j0b4ea80]
トランジスタ回路を一通り習ったことがあれば,無安定(非安定)・単安定・双安定のマルチバイブレータ回路は知っているかと思います.
単安定マルチバイブレータは
- トリガパルスをきっかけとして
- 一定時間のパルスを出力する
という動作をします.
この「一定時間」の長さは CR の時定数で決まります.
** 用途 [#a368d96b]
まず,
> 何らかのタイミングを生成する回路に使えるだろう
というのは,真っ先に思い浮かぶでしょう.
もちろん,そういう用途に使われています.
ちょっと変わったところでは
> アクセス LED を光らせる
という使い方もあります.
ある信号で直接 LED を光らせようとすると,信号のデューティー比やパルス幅の関係で,LED が十分明るく光らないことがあります.
かと言って,ダイナミック点灯のようにパルスのデューティー比が決まっているわけではないので,電流を多く流すのは危険です.
このような場合に,この IC を使ってパルスを引き伸ばしてやることで,LED を明るく光らせることができる,というわけです.
** 回路図 [#m6d4f793]
#ref(monostable.png,right,around,50%)
今回,右図の回路で 74HC123 を動作させました.
コンデンサ・抵抗は
:C|0.01μF
:R|120kΩ
で,パルス幅は
> 1.0 × CR = 1.2 ms
になります.
この計算式は,今回使った [[TC74HC123 のデータシート>http://toshiba.semicon-storage.com/info/lookup.jsp?pid=TC74HC123AF&lang=ja®ion=jp&sug=1]]に載っているものを使いました.
ただ,互換品の [[CD74HC123>http://www.tij.co.jp/jp/lit/ds/symlink/cd74hc423.pdf]]では tw = 0.45×CR とあります.
他の標準ロジックと違い,互換性がないようので注意しないといけません.
パルスを引き伸ばして LED を光らせるぐらいなら 2 倍ぐらい違ってもあまり問題ないのですが,タイミングを作る場合は問題ですね.
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** 回路を組む [#l6e7cf83]
#ref(IMG_20151216_203213.jpg,right,around,10%)
今回も,ブレッドボード上で回路を組んでみました.
74HC123 は,SOP タイプのものを DIP への変換基板に載せて使っています.
千石電商あたりなら DIP タイプのものも在庫してるんだろうけれど,地元のマルツには在庫してなかったので.
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** 出力波形を見る [#e051e77c]
#ref(IMG_20151216_203305.jpg,right,around,10%)
まずは,ファンクションジェネレータで 600 Hz の矩形波を入力してみます.
入力パルスの立ち上がりでトリガがかかって,パルスが出力されています.
出力パルスの幅は 1.2ms をちょっと越えてるけど,まぁ,誤差の範囲かな.
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#ref(IMG_20151216_203335.jpg,right,around,10%)
次は 1 kHz の矩形波で.
1ms 周期でトリガがかかるので,出力パルスがつながってしまいます.
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#ref(IMG_20151216_203357.jpg,right,around,10%)
最後は 300 Hz.
出力パルス幅は 600 Hz の場合と変わりませんね.
ただ,入力パルスが復帰する前にパルスの出力が終わっています.
ところで,[[555>http://www.tij.co.jp/jp/lit/ds/symlink/lmc555.pdf]] という定番のタイマ IC があります.
この IC でも単安定マルチバイブレータを組むことができて,74HC123 と似たようなことができます.
が,555 の単安定マルチバイブレータでは,出力パルスが終わる前に入力パルスを復帰させておかなくてはならないそうです.
内部の RS フリップフロップ の R と S が両方アサートされて競合状態になるのでしょう.
74HC123 はそういう制限は無いので,この点は使いやすいのかな.
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