* 水晶振動子と時刻ずれ [#ude22d80]

「パソコンの時計って意外と時刻がずれる」と思ったことは無いだろうか.

最近は標準時サーバと定期的に通信して時計を合わせているパソコンが多いので,時計のずれを気にする機会は減ってきているとは思う.
が,標準時サーバと通信できないような環境も多いので,そういう事態が撲滅されたというわけでもないだろう.
というわけで,「どのぐらいの精度で実際にどのぐらいずれるものなのか」という計算をしてみる.

[http://www.epsontoyocom.co.jp/product/Crystal/set01/fc12m/index.html エプソントヨコム社の FC-12M] という部品を例にする.
これは水晶振動子と言って,時刻を刻む元になる部品である.
機械時計の振り子やテンプと同じ役割をするものだと思えばいい.

この部品は公称周波数が 32.768kHz である.
つまり,(この部品を適切な回路に組み込めば,)1秒間に 32768 個のパルスが出てくるということを意味している.
そして,32768 個のパルスごとにデジタル時計の秒針(って針はないけど)を1つ進める機構を取り付ければ時計ができあがるわけである.

が,世の中,完全に正確なものはほとんどありえない.
というわけで,この水晶振動子のカタログにも「周波数許容偏差」という項目があり,±20 x 10^(-6) とある.
部品が作られた時点で最大これだけの狂いがありうるわけである.

つまり,実際のこの部品は,1秒あたり

 32768 x ( 1 ± 20 x 10^(-6) ) = 32768 ± 0.65536

個のパルスを発生することになる.

1 日あたりではどうなるだろうか?

 32768 x ( 1 ± 20 x 10^(-6) ) x 60 x 60 x 24 = 2831155200 ± 56623.104

1 日あたり最大で 56623.104 個だけパルスが多かったり少なかったりするわけである.
これを「32768 パルスごとに秒針を進める機構」に入れると

 56623.104 / 32768 = 1.728

つまり,1 日あたり最大 1.728 秒時計が狂う計算になる.

実際は部品の周囲温度などによってさらに狂う要素もあるのだけど,部品が製造された時点でこれだけの狂いを持っているのである.
月あたりで見れば

 1.728 * 30 = 51.84

50 秒あまり狂うことになる.
実際のところ,周波数偏差が 50 x 10^(-6) とか 100 x 10^(-6) ぐらいの部品も使われてたりするので,この誤差の数倍程度の狂いは十分ありうるわけである.

トップ   編集 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS