* ソース接地 FET 増幅回路 [#k122143d]

せっかくなので増幅回路も実験してみます.

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** 回路 [#scd6fbdb]

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ゼロバイアスのソース接地増幅回路です.
ソース抵抗も取っ払って電流帰還も無しです.

ソース抵抗もバイアス回路も無いということは,入力信号がそのままゲート 〜 ソース間電圧 (Vgs) になります.
入力信号が正に振れると,Vgs も正になってしまいますが,ゲート 〜 チャネル間の PN 接合が導通しない領域ならば問題はありません.
つまり,入力信号が GND 電位を中心に 〜 0.6 V ぐらいの振幅の領域で使えることになります.

:FET|[[2SK2880>https://www.idc-com.co.jp/search/search/Pdf/ja/4/2SK2880]]
:RL|1 kΩ
:入力信号の振幅|0.1 V

この回路の増幅率 A は

> A = gm・RL

となります.

gm は''相互コンダクタンス''で,真空管のそれと意味は同じです.
単位の次元は違いますが,バイポーラトランジスタでの hfe みたいなものです.
FET のデータシートには yfs 「順伝達アドミタンス」という名前で書いてあることが多いようです.

[[データシート>https://www.idc-com.co.jp/search/search/Pdf/ja/4/2SK2880]]を見ると,先頭には「|yfs|が大きい |yfs| = 3mS」とあります.

この代表値を使って計算すると,この回路の電圧増幅率は

>A = gm・RL = 3e-3 x 1e3 = 3

となります.

** 静特性 [#j35864db]

SG の出力を切って,RL 両端の電圧 Vrl をディジタルテスタで測定したところ,2.89 V となりました.
ドレイン電流は I = V/R = 2.89 mA ということになります.

[[データシート>https://www.idc-com.co.jp/search/search/Pdf/ja/4/2SK2880]]の「順伝達アドミタンス−ドレイン電流特性」のグラフを見ると,このときの順伝達アドミタンスはだいたい 3 mS です.

順伝達アドミタンスが代表値と同じということは,増幅率も上の計算どおりにいくのかな?

** 周波数特性 [#s2db189d]
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例によって,SG をスイープモードにして,周波数特性を見てみました.

:開始周波数|0 Hz
:終了周波数|999 kHz
:スイープ時間|9.99 秒

でスイープしています.

「ちょっと高域で落ちてるかな?」という気もしますが,1 MHz 近辺でもボチボチ動作していることがわかります.
まぁ,1 MHz あたりでは SG の波形もかなり怪しいので,この環境で取れるデータはここらが精一杯です.

** 増幅率 [#redbb32c]

f = 40 kHz では

:入力電圧|260 mVpp
:出力電圧|688 mVpp

でした.

電圧増幅率は

> A = Vout / Vin = 688 / 260 = 2.65

となります.

設計値の 3 には足りないですが,まぁ,こんなものかな,と.

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