電力不足

今回の地震で,首都圏では計画停電を実施するなど,電力事情は大変なことになっている.

東京電力のプレスリリースを見ると,現在の電力の供給能力は 3500万kW とのことである. 一方,年間通じての最大電力消費量,つまり夏場のピークはここを見ると,ここ 10年間ぐらい横ばいで 6000万kW 前後である. つまり,今の供給能力のままでは夏には 6000 - 3500 = 2500 万kW の電力が不足することになる.

この 2500万kW という数字をいろいろなものに置き換えてみよう.

太陽電池

シャープの業務用太陽電池パネルのうち,一番発電効率のいい NQ-260LW という製品でこの 2500万kW を発電しようとすると,153 平方キロメートルの面積が必要になる. これは東京都の面積の約 7% に相当する.

また,Wikipedia の太陽光発電のページによると,2009 年の全世界の太陽電池の生産量は 1000万kW あまり. これの 2.5 倍の電力が不足することになる.

風力発電

スバルの風力発電機でいちばん大きなものは 2000kW の出力がある. この発電機で 2500万kW の電力を賄おうとすると,12500本の風車を建てる必要がある.

自転車

自転車のタイヤの横に押し付けてライトを点ける発電機は,出力は 6W. これで 2500万kW を発電しようとすると 42億台の自転車が必要. 日本全国の老若男女が自転車のペダルを漕いでも無理である.

注意

「原子力がダメなら太陽光や風力があるじゃない」みたいな安易な意見を言う人もいるけど,自然エネルギーはそのままでは出力が不安定である. そのままでは商用の電力供給に使うことができない. もし使ったら「太陽光パネルに雲が差し掛かって関東一円が停電しました」ってなことになってしまう.

というわけで,こんな計算をしてみたけど,仮に計算上の帳尻があったとしても自然エネルギーでは簡単には代用できないということを念のために書いておく.


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Last-modified: 2011-03-19 (土) 16:01:31 (4798d)