ヒステリシスコンパレータ回路 †ヒステリシスコンパレータ回路の実験をやってみました. コンパレータ †コンパレータはオペアンプの仲間で,1つの素子に
の3つの端子があります(もちろん電源端子もあります). 素子の動きは
となっています. 2つの入力電圧を「比較」(compare) してるわけです. で,コンパレータの多くは,出力端子がオープンコレクタ(オープンドレイン)になっていて,上記の H レベル出力が Z (ハイインピーダンス)になります. ヒステリシス †コンパレータに対して,観測したい信号を単純に
と接続すると,GND の電圧 ( = 0V ) が閾値となって出力が変化します. ヒステリシスコンパレータ回路の場合は,
が異なる電圧となっていて,入出力特性をグラフにすると,S 字が 2 つ並んだような特性になります. ディジタル回路では「シュミットトリガ」という信号入力がありますが,実はヒステリシスコンパレータ回路と同じ原理で動いています. 回路 †今回は右図のような回路で実験しました. このコンパレータはオープンコレクタ出力なので,R3 でプルアップすることで H 出力 / L 出力になります. R2 は帰還抵抗で,出力電圧を入力に帰還させるものです. 極性を見ると正帰還になってますね. この正帰還がヒステリシス特性となる秘密です. R1 も帰還回路の一部となっています. シュミットトリガでもデータシートの等価回路を見ると,入力段の2つのトランジスタでエミッタの抵抗を介して正帰還が働いていますね. 特性 †シュミットトリガの場合,IC 内部で帰還回路が閉じているので,閾値電圧を調整するのはまずできませんが,ヒステリシスコンパレータ回路では R1, R2, R3 の値を調整することで,閾値の電圧をある程度変えることができます. というわけで,閾値電圧を計算してみます. まず,コンパレータは
というモデルを考えます. 出力が H の場合は,Vcc -- R3 -- R2 -- R1 -- GND の回路で分圧された電圧が + 入力端子にかかるので,閾値電圧は
となります. 出力が L の場合は,R2 の出力側は GND に接続されるので,閾値電圧は
ですね. 実験した回路では
としました. 閾値電圧は
という計算になります. 実際に回路を組む †回路はブレッドボード上に組みました. ただ,今回使用したファンクションジェネレータのオフセット電圧の精度が悪く,DC 成分を 0 にできなかったため,入力を C カットし,オフセット電圧が 0 となるようにしました. 入出力を見る †入出力にオシロをつないで波形を見ると,こんな感じになりました. H→L の閾値電圧と L→H の閾値電圧が違っているのがわかります. 閾値電圧の値も,まぁまぁ設計どおりになっているかな. R2 を外す †で,さっきの回路から R2 を外して,正帰還がかからないようにしてみました. 単純なコンパレータの動作ということになります. 入力電圧にノイズが乗っているので,閾値電圧付近でノイズの影響を受けて出力が暴れているのがわかります. |