同調回路と負荷

トラディショナルな AM ラジオでは,バーアンテナで電波をキャッチし,バーアンテナのコイルとバリコンの同調回路で聞きたい放送局を選局しています.

が,この同調回路は並列共振回路で,ここから大きな信号を取り出すと同調範囲が広くなると言われています. 「Q が低い」というやつですね. AM ラジオで言えば,受信感度が低くなって近い周波数の局が混信しやすくなります.

で,実際のところ,どの程度の負荷をつなぐとこのような現象が見えるようになるのか,というのを見ようとという実験です.

測定回路

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  • バーアンテナとフィルムコンデンサで同調回路を作ります.
  • SG にループコイルをつないで,磁界で同調回路を励振します.
  • 同調回路に接続する負荷抵抗 RL の値を替え,共振の状態をオシロの画面で確認します.
  • SG は 10 kHz 〜 100 kHz の間を 9 秒間でスイープさせます.
    • つまり,1 秒あたり 10 kHz の変化になります.
    • オシロの画面で「横軸目盛り1マス分が 10 kHz」と読めることになります.

結果

ざっとこんな感じです.

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上から RL = ∞(無接続), 1 MΩ, 100 kΩ, 10 kΩ, 1 kΩ, 100 Ω のときの写真です.

ch 1 (赤)がループコイル両端の電圧,ch 2 (黄)が共振回路両端に発生している電圧です.

RL が 10 kΩ あたりまでは,ほとんど区別がつかない波形ですが,1 kΩ になるとさすがに共振波形が鈍ってきているのがわかります. 100 Ω では「辛うじて山があるかな」という程度です.

しかし,10 kΩ あたりまでほとんど変わらない,というのはちょっと驚き. 意外と低いインピーダンスでも同調特性は変わらないのだな,と感心してしまいました. まぁ,ここらは無負荷の同調回路自体の Q によるのでしょう. 最初からある程度劣化していれば,小さな負荷(高い負荷抵抗)がつながれても劣化は誤差の範囲内になるのかもしれません.


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Last-modified: 2016-04-25 (月) 12:39:39 (2946d)